整形外科を中心とした医療と機能回復

高次脳機能センター(病院)

遂行機能障害とは

遂行機能障害は、約束の時間に間に合わない、仕事が約束どおりに仕上がらない、どの仕事も途中で投げ出してしまうといった、一連の目的ある行為の上での様々な問題を指します。

遂行機能とは、
1.未来の目標を定め
2.その目標を実現させるための段取りをたて
3.目標に向かって実際に行動を開始・継続し
4.目標に近づくように実行状況に対して適切な調整を行なう
一連の過程をいいます。
言い換えれば、目標を目指しながら、それにそって目の前の問題を解決していく高次の機能であるといえます。

ここでは、まず、遂行機能障害全般への対応方法を述べます。
そして、遂行機能障害を、行為を始める、あるいは終える時期を早まる、状況にふさわしくない行為を選択する、無意味な考えや方法を捨てられないといった
(1)始動、(2)終了、(3)自己制御
の3つに分類してその特徴を説明していきます。

  • (1)始動の障害

    無感動・無関心、または意欲・興味・動機などの欠如、持続性・活動性・自発性などの欠如などの問題を含み、自発的に活動を開始させることが難しい、目標を達成させることが難しいなどの問題を示します。
    このような人は、表情が平坦で、感情の表出が乏しく、以前の趣味や衛生習慣などを忘れてしまったかのようにふるまうことがあります。

    しかしながら、うつ病と症状が似ていることもあるため、注意が必要です。
    よく分からない場合には、医師に相談してみてください。
    うつ病は適切な薬物療法と心理療法で改善します。

  • (2)終了の障害

    運動と観念の保続、強迫観念、情緒不安定、怒りの噴出、不安とうつの繰り返し、妄想的思考過程などなどの問題が含まれます。

    「保続」とは、ある行動が望まれたり求められたりしていない場合や、その行動が適切ではない場合でも、やり続けることです。
    たとえば、患者さんがナースコールを繰り返し押すことはよくありますが、ナースコールを繰り返し押すことを止めるように伝え、本人も納得するのにも関わらず、すぐに繰り返してしまうことがあります。
    また、テーブルに箸を置くと、食べ物がなくても食べるような動作をする患者さんは、“目の前のもの(箸)と結びついた”行動(食べる動作)を抑えることが難しくなっていることが考えられます。
    つまり、目の前に食べ物がなくても、箸を見てしまえば、箸と結びついている食べる動作を抑えることが難しいのです。
    他人の衣服の一部(ネクタイやブローチなど)に執着することもあり、やめるようにいわれても繰り返し触ろうとすることがあります。

  • (3)自己制御の障害

    自己中心性、衝動性、社会的エチケット違反、判断力欠如、洞察や自責のない反社会的行動の表出が含まれます。
    また、障害への気づきに問題のある場合もあります。
    このケースの患者さんは、自分の受傷後の変化を理解することが難しいようです。
    怪我などしていないと言い張る患者さんや、入院リハビリテーションがまだまだ必要な場合でも、すぐに家に帰れる、復職できると言い張る患者さんがいます。
    また、自分の障害がどのような場面で困難をもたらすのか予想できにくいこともあります。

高次脳機能障害への日ごろの対応方法については、
『高次脳機能障害とともに ― ご家族の方へ』(PDF資料 39.2MB)
をご参照ください。